美容部員の仕事には、お客様の肌に触れてスキンケアやメイクを行う「タッチアップ」という業務があります。百貨店に入るブランドでよく行われる接客手法で、実際にタッチアップを経験したことがある人もいるのではないでしょうか?ただ、タッチアップに苦手意識があったり、未経験の人には難しく感じたりと、ネガティブなイメージを抱く人も多いと思います。
そこで今回は、美容部員のタッチアップに関する疑問や面接対策を解説します。
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美容部員のタッチアップは、お客様に商品の使用感や色味などをお試ししていただくための接客手法です。美容部員が直接お客様の肌に触れて、スキンケアやメイクアップをしながら商品の説明や提案を行います。
化粧品は実際に肌にのせてみないとわからないことが多く、タッチアップではその不安を解消する目的があります。タッチアップをすることでお客様は安心して商品を購入でき、また美容部員にとっても、商品のセールスポイントを説明できるため、購入につながるアプローチがしやすくなるメリットがあるでしょう。
お客様の悩みや要望を聞き出すのがカウンセリングです。肌診断の機械を使用してカウンセリングを行うブランドや、カウンセリングシートを記入してもらうブランドなど、アプローチの方法はブランドによっても異なります。
タッチアップのように必ずしも直接肌に触れる接客ではなく、会話を通じてお客様のニーズを把握するのがカウンセリングの目的なので、ヒアリング力やコミュニケーション能力が求められるでしょう。
タッチアップを希望するお客様を席にご案内して、商品の説明や提案をしながらスキンケアやメイクアップを行い、購入につながるクロージングをするのが理想の流れです。
スキンケアに力を入れるブランドなら、肌の状態がわかる専用の機械を使い、データを元にタッチアップを進めることもあります。
またタッチアップではなく、お客様の手に化粧品をのせて、テクスチャーや使用感などをお試しいただくハンドデモを行うブランドもあります。タッチアップよりも簡易的なのでアプローチがしやすく、混雑時でも対応しやすいことが特徴です。
ブランドの接客スタイルやコンセプト、展開する商品の種類などによってもタッチアップのやり方は異なるため、柔軟に対応できるようにしておきましょう。
タッチアップでは商品の特徴や使い方などを説明をするため、正しい商品知識が求められます。また、メイクアップをする場合は、接客をしながら手を動かしてメイクをしなくてはいけないため、高いメイク技術も必要になるでしょう。
タッチアップではお客様と一対一でやりとりを行うため、信頼関係を築く必要があります。商品を売りたい気持ちが先走ると、押し売りのような接客になってしまうため注意が必要です。
お客様とは適度な距離感を保った上でコミュニケーションをとり、適切なアドバイスや商品の提案を行うための会話力が求められるでしょう。
タッチアップをする時は、お客様の肌に直接触れるため、衛生面への配慮が求められます。清潔な状態の手で、お手入れがされたメイクツールを使用するのがマナーです。
またお客様との距離が近いため、お昼ごはんに匂いのきつい食事をしたり、香水をつけすぎたりしないように注意しましょう。
タッチアップでは、一つ一つの動作を丁寧に行わなくてはいけません。特に商品を雑に扱うと印象が悪くなるため、お客様を不快にさせないための気遣いが求められます。
カウンセリングは「お客様が抱える肌やメイクの悩み」「美容部員に教えてほしいこと」「商品で知りたいこと」などを丁寧に聞き出す必要があります。
お客様のニーズを正しく把握することで、適切なアドバイスや提案ができるため、カウンセリングは丁寧かつ時間をかけて行いましょう。
カウンセリング後は、お客様の悩みを改善できそうな商品を用意します。使用するアイテムを並べ、肌にのせる前にお客様に説明をしましょう。そうすると、お客様は安心してタッチアップを受けることができます。
タッチアップでは、顔の片方にだけメイクをすると変化を感じてもらいやすくなります。使用感や色味など、お客様に鮮明に体験していただくための工夫が必要です。
また、メイクをしているお客様には「リムーバーでメイクをお取りしてもよろしいでしょうか?」と一言声をかけてから行うのがマナーです。何も言わずにメイクを落とされると不快に感じるお客様もいるため、一つ一つの工程の前にお声かけをするようにしましょう。
さらにアレルギーの有無や体調の確認、苦手な色や香りなどがないかも確認する必要があります。
タッチアップ後はお客様に感想を聞いたり、改めて商品説明や使い方を伝えたりとアフターカウンセリングを行います。お客様の反応がよければ、購入につながるトークをしてクロージングに進むのが、タッチアップの一連の流れです。
美容部員の経験がある人は、タッチアップの技術力を面接でチェックされることがあります。ブランドによってもそのやり方は様々ですが、メイクアップの技術試験を行う場合もあるため、事前に面接内容を確認しておくと安心です。
技術試験ではなくタッチアップに関する質問をされた場合は「タッチアップをする時に意識していること」「タッチアップでのお客様とのエピソード」などを、口頭でアピールしましょう。
タッチアップの経験がある人は、スキルがあると判断されるため、採用に有利になる可能性が高いでしょう。前職で美容部員の仕事をしていた人は、タッチアップのスキルをアピールできる経験談や、意識していることなどを回答すると好印象を与えられます。
タッチアップでは、コミュニケーション能力が必要不可欠です。商品の良さや特徴を伝えるために行うタッチアップですが、説明や提案もせずに淡々と進めるだけでは、お客様の不安や悩みを解消することはできません。
タッチアップはお客様と積極的にコミュニケーションをとってやりとりを行う必要があるため、面接ではコミュニケーション能力をチェックされています。
美容部員は常に見られている意識を持って、身だしなみに気を配る必要があります。特に清潔感の有無は、重要視される部分です。
面接では清潔感をアピールできるように、服装・髪型・メイクなど好感を持たれる身だしなみを意識しましょう。
面接は、緊張して実力をアピールできない場合もあります。そのためには事前準備を入念に行うことが大切です。
事前準備とは、面接対策を行うこと。まずは応募先のブランドコンセプトや商品の特徴を調べて、知識を深める作業が必要です。
次に志望動機や自己PRを考えて履歴書を作成します。美容部員は未経験でも可能なことが多いですが、これまでの経験で活かせるスキルがあれば積極的にアピールしましょう。
これらの準備ができたら、実際の受け答えを想定した面接シミュレーションを行います。面接官に聞かれそうな質問に対し、どのように回答するかを考え、声に出して何度も練習することで、堂々とした受け答えができるでしょう。
もしタッチアップの試験がある場合は、友人や家族などにお願いして練習させてもらうと、面接本番は落ち着いて臨むことができます。
【関連リンク】
【回答例あり】美容部員の面接対策|よく聞かれる質問・服装・メイク
外資系のタッチアップは、メイクアップの技術力やスピード感を重視する傾向にあります。最近では購入履歴や肌悩みなどの顧客情報をデータで管理するブランドも多く、効率的かつニーズに合った提案を行っています。
国内のブランドは丁寧な接客が特徴で、時間をかけて行う傾向にあります。特にスキンケアのタッチアップでは、肌診断を行ったり肌の悩みや改善したいことをヒアリングしたりと、お客様一人一人に合った商品の提案を行っています。
スキンケアや肌の知識を身につける必要があるため、美容部員は常に勉強をしたり研修に参加したりして、スキルのアップデートが求められるでしょう。
自然派コスメやオーガニックコスメを取り扱うブランドは、接客スタイルも穏やかで親しみやすさを大切にしています。お客様を席にご案内してタッチアップの時間を作るというよりかは、接客や会話の自然な流れで、商品の使用感を試していただくブランドが多いでしょう。
プチプラブランドでは、ハンドデモで簡単に商品のテクスチャーを試していただいたり、テスターを置いてお客様自身で試していただくスタイルが主流です。
タッチアップに苦手意識がある人は、面接前に応募先のブランドの店に行って体験してみましょう。美容部員の接客やタッチアップへの流れ、タッチアップの最中のお声かけや商品説明のやり方、アフターカウンセリングやクロージングへの進め方など、一連の流れを体験できます。
タッチアップをする際のコツや手順などをチェックし、家に帰ってから復習することで知識やスキルが身につきます。
人にメイクをすることに抵抗がある人や、話しながらメイクをすることができない人は、美容やコスメ関連の発信をしているSNSやYouTubeなどを、参考にするのもおすすめです。
特にプロのメイクアップアーティストの方の発信内容は、勉強になることが多く、美容部員の面接対策に活かせるでしょう。
タッチアップの技術面で不安がある人は、友達にモデルになって練習させてもらうとよいでしょう。友達なら実際に練習台になって感じたことや気付きを聞きやすいため、自分の苦手な作業や改善点などを洗い出せます。
タッチアップが得意な美容部員は、お客様からの信頼を得るため、指名率が上がります。リピーターのお客様なら「◯◯さんにお願いしたい」と自分を指名してくれることもあり、美容部員としてのやりがいを感じられるでしょう。
またクロージングまでできるようになると、売上も上がります。頑張りに応じた評価がされるブランドなら、給与が上がったりキャリアアップができたりと可能性が広がるでしょう。
タッチアップで指名率や売上が伸びて実績をあげると、店長や教育係にステップアップすることも可能です。これまでの業務に加えて、売上管理や店舗運営に関する業務、さらには新人スタッフの教育などに携われるため、責任ある業務に挑戦できます。
最近は現役の美容部員がSNSで発信をする人も増え、プロならではの視点や知識が参考になることから、アカウントが伸びる傾向にあります。アカウントが伸びてフォロワーが増えれば、美容部員としての活躍の場が広がったり、自分のファンがついたりと、新たな働き方を開拓するきっかけになるでしょう。
接客だけでは伝えにくいことや、お客様の不安や悩みを解決するためのアプローチとして、タッチアップは必要不可欠な業務です。面接ではタッチアップの質問をされたり技術試験があったりと、美容部員ならではの面接対策が必要になります。面接官に好感を持たれるよう、事前の準備や対策は入念に行いましょう。