「エントリーシートと履歴書という同じような書類を書いて意味あるの?」と疑問に思うこともあると思いますが、企業の採用担当者はどちらにもしっかりと目を通しています。まずは採用担当者の目線でこの2つの役割を見てみましょう。
「履歴書」とは、その名の通り「今までのあなた」について企業に伝える書類です。名前や住所といった基本情報をはじめ、学歴(職歴)や資格等、どのようなことをしてきた人物なのかという情報を記載します。一目で経歴や実績がわかるほうが良いので、長い文章ではなく簡潔にわかりやすくまとめましょう。
エントリーシートはあなたの性格やどのような考え方の持ち主か、また将来どのようにその企業で活躍できそうか、というお人柄や将来性を見るための書類です。エントリーシートは市販ではないので、以下のような入手方法が一般的です。
書類選考では履歴書とエントリーシートを照らし合わせて読まれることが多いです。そのため、2つの書類にほとんど同じことを書いてしまうと、意図を理解していないと判断されてしまいがちです。反対に、履歴書に「人と話すことが好き」と書いていながら、エントリーシートに「一人でもくもくと作業をするのが好き」と、つじつまが合わないことを書くとマイナスになってしまうので注意が必要です。
エントリーシートは企業ごとで形式が異なるので「必ず聞かれること」は企業によってそれぞれです。しかし、エントリーシートの提出を求める目的はどの企業もほとんど同じなので、以下のような質問が予想されます。
など
これらの設問をみると、あなたがどのような人物でその企業の仕事についてどのような考えを持っているかを聞こうとしているのがわかりますね。
書類選考では採用担当者は何百もの書類に目を通します。1人にかける時間は2つの書類を合わせてもほんの数分です。つまり、読みづらかったり結論がわかりづらかったりすると、その時点ではじかれてしまう対象になってしまいます。そんなことにならないよう、担当者が見てくれる書類にするための5つのルールを押さえましょう。
次に①~⑤のルールを踏まえてNG例とOK例を比較しましょう。
NG例:
私は中学からテニス部に所属していました。それからも高校でもテニスを続けていました。部内では私のサーブに定評があり、常にレギュラーとしてチームを引っ張っていました。
NGの理由:
極端な例ですが、「あなたの長所は?」という質問に対して「テニスをやっていた」事実を並べているだけの回答になっています。チームを引っ張っていたというアピールポイントを入れていますが、サーブに定評があるからという理由しか伝わりません。企業側からすると、テニスが上手いだけの人を採用しようとはなかなか思わないでしょう。
それではNG例を踏まえて、添削した文章のポイントをご紹介します。
OK例:
私の長所は「原因をつきとめて改善すること」です。学生時代はテニス部で活動をしていました。誰よりも多く練習をしていたはずなのに、成績が伸び悩んでいた時期がありました。そこで原因を見つけるために、ビデオでフォームをチェックしたり試合の結果をまとめたりして分析を行いました。それを元に練習メニューを変えると成績が大きく伸び、全国大会のメンバーに選ばれるまでになりました。分析・対策で良い結果につなげることができるというこの経験を社会人になっても活かして貴社に貢献したいです。
OKの理由:
まずは、質問に対する答えを一番はじめに「原因をつきとめて改善すること」と明確に書いていることです。次に冒頭で述べたことを裏付けるエピソードを述べることで、採用担当者がよりリアルな視点でその人を知ることができます。エピソードでは主観だけではなく、数字などの実績や周りの人からの評判を加えることでより説得力が付きます。
学生時代に力を入れたこと
私が学生時代に力を入れたことはアパレルバイトです。元々接客が好きだったのですが、働き始めてしばらく常連のお客様を作ることができずに苦戦していました。このままではいけないと思い、なぜ自分にお客様ができないかを先輩の接客をよく見て勉強するようにしました。そこで、先輩の接客はお客様に合わせた提案をしているのに対して、自分の接客は常にマニュアル通りで一方的だったことに気が付きました。それからお客様の動きや会話から一人一人に合った接客をするように心がけるようになったことで、リピーターのお客様が増え、売上を〇%アップすることにつなげることができました。今でもトレンド研究などを欠かさず行い、いろんなお客様と話せるよう話題の引き出しを増やしています。
なぜ美容部員を選んだのか
洋服を扱うアパレルと違い、美容部員はお客様自身の美を引き出すお仕事だからです。今はプチプラなどの安い商品が流行っていたり、ネットで気軽に買えたりする時代です。しかし、肌に負担のないことをコンセプトに作られた貴社の製品の魅力を伝えられるのは美容部員だけだと考えています。カウンセリングを通して、さらにお客様にとって価値のある商品になるような提案ができる美容部員になりたいです。
美容を通じて人を幸せにすることについてあなたの意見を自由に述べてください
美容はただ見た目が美しくなることではなく、美しくなることで自信がつき、内面から強く美しくなることだと考えています。美容方法は年齢によって異なりますが、美しくなって人生を楽しみたいという目的は一緒です。貴社の店舗では10代から私の祖母の世代の方まで訪れているのをよく見かけます。幅広い年代のお客様に愛されるのは、貴社の製品がお客様のその時その時を美しくして、心も強くしていたからだと思います。私は、今後貴社の美容部員として、お客様一人一人を内面から美しくしたいです。
美容部員は接客業であることから、選考では気遣いやマナー・常識なども見られます。それは書類選考でも例外ではありません。修正液だらけやしわくちゃな状態、証明写真のサイズが枠に合っていないなどの手抜きが見えてしまうとマイナスイメージになってしまいます。
反対に「挨拶状・添え状がある」「書類がきれいに折られている」という細かな気遣いは、美容業界で求められる「ホスピタリティ」にも繋がります。受け取って読みやすい、ちょっとした心遣いが感じられる書類になるようマナーや常識を守って送るようにしましょう。
採用担当者は書類選考を通じて、まだ会ったこともない応募者について知ろうとしています。あなたが文章を書くのが苦手だからといって適当に書いてしまうと、あなたの良さが伝わらずに終わってしまうことがあります。
採用側が知りたいことは何かを考えて、どんな書き方をすれば相手が読みやすいかをほんの少し工夫して書くことで結果は変わってくるでしょう。今までよりも、もっと読み手に伝わるエントリーシートを目指しましょう!